ズレの影響を軽減する塗り足し
紙箱のデザインデータに欠かせない塗り足しについての解説です。
塗り足しは印刷後の断裁、型抜き加工時に生じるズレで白(紙の地色)が出ないようにするために行います。
A4やA5に仕上げる印刷物の場合はトンボを基準に均等に3mm塗り足しますが、紙箱の場合は少し異なります。
まず、箱になった時に見える部分が白くならないようにフタ、側面、裏面を塗り足します。
フタの塗り足しを45度にしている部分はズレによってフタの塗り足しが側面に、側面の塗り足しがフタにはみ出さないようにする効果があります。
のりしろは接着に影響が出ないように裏面の塗り足し以外は白のままにします。
紙箱の仕上がりをイメージした実例
では、上の画像を仕上がりイメージとして実例を解説します。
各面への配色は上画像 左のようになりますが、塗り足しがありません。
そのため、左に1mm、上に1mmずれた場合、上画像 右のように白いスジが出てしまいます。
では、同じレイアウトで塗り足しがある場合の例です。
先程と同じく左に1mm、上に1mmずれたイメージ画像を見ると、塗り足しのおかげでどこにも白が出ていません。
気になる部分としては、ズレの影響で正面に側面、底面の色が回り込んでいる点ですが、これは塗り足しでは回避できません。
紙箱の製造工程、機械の特性上、ズレ幅ゼロは不可能なので、わずかなズレも気になる場合はズレが目立たないデザインにすることが得策です。
側面に境界線になるような絵柄、色を使わない、4面とも同じ色にする、ズレが分からないような総柄にするなどデザインを調整することで、ほとんどズレが気にならない仕上がりになります。
ズレの影響はデザインデータの図面を意図的にズラせば確認することができます。
1mm程度のズレでデザインへの影響がある場合は再検討したほうが良いと思います。
なお、トンボ・図面改変の恐れがあるので図面をずらしての確認はコピーしたデータで行うことをお勧め致します。
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