紙箱の単価を算出する要素と製造数量による価格差についてのページです。
1、材料代、紙代
まず最初に紙箱の価格に関わってくる要素は使用する材料、紙の価格です。
紙代は紙の銘柄、種類と厚さ、大きさで価格が決まります。印刷紙器に使用する紙の多くは1kg当たりの価格が設定されていて100枚当たりの重さで価格が決まります。
例えば100枚の束の重さが20kgで1kg当たり100円の紙を使用するとします。100枚使う場合の紙代は 100枚の重さ20kgx100円=2000円 になり紙1枚の価格は20円となります。
紙の使用枚数は1枚の材料から紙箱が何個作れるかで決まります。
このように1枚の材料から2個の紙箱が作れる条件で2000個の箱を作るとすると必要な紙の枚数は1枚当たり2個x1000枚=2000個で1000枚の紙が必要となります。
実際には印刷、型抜き、貼りと複数の工程でロスが生じること、納品数に若干の予備を付けるため多めに紙を用意します。
特に印刷工程では多くの紙をロスするため多色刷りの場合は紙の予備が多めになります。一方、無地の場合は型抜き、貼りで僅かにロスが生じる程度なので材料の予備はそれほど必要になりません。
2、印刷代
印刷代は印刷の色数と印刷枚数、表面加工の種類で算出します。
型抜き、貼り加工も同様ですが最低加工費を設定していて枚数が少ない場合はほぼ定額になります。このような算出基準を台数計算と呼んでいます。
一定の枚数以降は1枚当たりの単価で印刷代を算出します。
例えば1色印刷の最低加工費を10,000円(台数計算)、1枚当たりの印刷代を5円(枚別単価)とした場合で500枚と1000枚、3000枚の印刷代は
500枚の印刷代 10,000円(台数)=1枚単価は20円
1000枚の印刷代 10,000円(台数)=1枚単価は10円
3000枚の印刷代 3000枚x5円(枚別単価)=1枚単価は5円
このようになり数量ごとに単価は倍の価格差が生じます。これが数量によって単価に差が出る一番の要因になります。
3、抜型を使って型抜き加工
印刷が終了したら次は紙箱の展開の形状に型抜きします。型抜き加工には板に刃を埋め込んだ抜型を使用します。
抜型は初回ご注文時に製作して2回目以降は繰り返し使用します。
型抜きは印刷の面付けと同じ条件での加工が基本です。箱が2個付合せの印刷の場合は抜型も2面付の型で加工します。1回機械が動くたびに2個の箱が抜き上がります。
この条件では4000個の箱を作る場合、2000回の抜き加工を行います。次の画像のように4面印刷で4面抜きすると4000個の箱を1000回の抜き加工で製造できます。
抜き加工1回あたり10円とすると4000個の箱を作る抜き加工代は
2面抜き2000回x10円=20,000円 ・・・箱1個単価5円
4面抜き1000回x10円=10,000円 ・・・箱1個単価2.5円
となります。
面数を増やして抜き加工を行った方が単価は安くなります。しかし4面付の抜型代は2面型の倍の価格です。
箱の製造数が少ない場合は面付けの少ない型で加工、数量の多い箱や繰り返しオーダー頂ける商品の場合は面付けの多い抜型で加工したほうがお得になります。
スポット品、限定品など再版の見込みが無い場合は数量が多くても面付けの少ない型を使用して単価+型代の総額をお安くまとめる場合もあります。
4、のりしろを接着する貼り加工
最後の加工が貼り加工です。抜き上がりのシートののり代部分に接着剤を塗布、貼り合わせていきます。
貼り加工は数量が少ない場合は台数計算(数量問わず定額)が適用されますが一定の数量以上の場合は1枚ずつ貼っていく加工なので大きな価格差は生じません。
サイド貼り、サック貼り(キャラメル箱、スリーブ、下組箱、地獄底)は1か所の接着、底ワンタッチ貼りはサイド1か所と底2か所の計3か所の接着、両サイド貼り(身ふた組立箱など)は2か所の接着と貼り方によってコストが異なります。
組立箱など貼り加工を必要としない紙箱もあります。
5、包装、出荷
すべての加工が終了した紙箱は適宜梱包して出荷します。
結束、クラフト包装、段ボールカートン入れ、パレット積など適した形態、取り決め通りの梱包にまとめて宅急便や路線便、チャーター便などを利用して指定先へ納入します。
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