「貼り箱」「貼箱」の読み方は「はりばこ」と読みます。
貼函と表記する場合もありますが、すべて同じタイプの箱を指しています。
中芯となるボール紙(厚紙)で箱の形を作り、表面に接着材を塗布した印刷紙や色紙を貼って仕上げます。
1mm~2mmほどの厚さの芯ボールに紙を貼り合わせるので紙製の箱としては強度があり、高級感が特徴の化粧箱です。
商品に高級な印象や付加価値を与えることが出来るため、化粧箱として贈答品やギフトボックス、高級品パッケージに最適です。
50個から300個以下での貼箱製造では抜型、木型を使わないため初期費用が安く、小ロット・多品種展開しやすい箱です。
形状によってコストや量産適正などが異なるのでご希望のイメージやご予算などに応じて最適な仕様をご提案しています。
貼り箱の形式
スタンダードな「かぶせ式(C式)貼り箱」
貼り箱で最もご利用が多い形式が「かぶせ式貼り箱(C式)」です。
小ロットの場合は抜型、木型を使わずに指定寸法で製作可能なため、初期費用を抑えることができます。
100個位でも比較的低価格でオリジナル印刷の箱が製作でき、箔押しやエンボス・各種表面加工にも対応しています。
貼り箱の中では最も単価の安い形式で抜型と木型を使って全自動機械生産が可能なため大ロットにも対応することができます。
そのため取扱い数も多く、仕切りや中枠を入れたり、ディスクを固定する部品を付けたり様々な商品パッケージとしてご利用頂けます。
箱の形としては組立箱(組箱)と同じですが、かぶせ式貼り箱は組立箱(組箱)と違い、折りたたむことができません。
そのため嵩張りますが、小ロット対応が可能なため利用状況に応じて必要な数だけを製作することで余分な在庫や保管スペースの心配をすることなく、ご利用頂けます。
機械貼りの場合は個体差・製造ロットによる品質差を最小限に抑えることができ、尚且つ単価も安価なため数量が多い場合やリピートオーダー品の場合はかぶせ式の貼箱がおすすめです。
2重構造で高級感のあるインロー貼り箱
インロー貼り箱は身(商品を入れる側・下箱)に内箱が入っていて2重構造のため頑丈で重量感があり、フタを閉めた時、身にフタが被らずピッタリ突き合せたようになる貼り箱です。
フタ+身+内箱の3部材を使い、内箱の接着が必要なため単価はかぶせ式より高くなります。
抜型無しで小ロットから製造可能ですが仕上がり、寸法精度を重視する場合は小ロットでも抜型を製作して製造します。
フタを身箱に繋げたり、サテン内装を入れる、フタが開き切らないようにリボンを付けるなどの加工を組み合わせることも多く、最高級仕様の貼り箱はこのインロー式が多く利用されています。
上の画像は背貼り(身とフタを背の部分で貼り合わせて繋げた一体型)の蝶番貼り箱です。
サテンの取り付けや背貼りが手作業なので手間がかかり、単価は少々高めですが高級感を演出できる形式です。
本のようなブックタイプ貼り箱
表紙をフタにしたブック型の貼り箱でかぶせ式、インロー式と同様、小ロット対応可能な形式です
フタになる表紙部分と箱の接着は手作業ですが、表紙・箱とも機械製造ができる構造のため大ロットも対応可能です。
絵本と同じような構造の表紙と箱を組み合わせた形式でフタを閉じると角背の上製本 (ハードカバー)のような外観になります。
フタは表紙が身箱の上に乗っている状態なので、箱が傾いたときや振動などでフタが開く場合がありますがスリーブやブックケースを組み合わせたり、リボン・シールなどでフタを固定することで解決できます。
表紙は印刷後にPP貼りラミネートにすることで傷・フタ開閉による破れに強くなります。
角が剥けたり、ひび割れる場合があるので印刷紙を使う場合はPP貼りをお勧めしています。(PP貼り加工は最小ロット300部~)
ファインペーパー(着色、エンボス加工などを施した高級感のある特殊紙)や紙クロス(ラテックス浸含、エンボス加工などを施し革などの質感を表現した紙)でも綺麗な表紙に仕上がります。
かぶせ貼り箱は身にフタが被っているので身の外周をフタが支えるような役割を果たし、重い商品をセットしてもある程度耐えることができますが、通常のブックタイプの身は外周に支えがありません。
そのため、重い商品の場合や本のように立てて保管すると身箱の側面が歪みやすい傾向があります。
上の画像のようにフタを付けると箱の反りや歪みを軽減することができます。
身フタ一体のワンピース貼り箱
ワンピース貼り箱はフタがつながった一体型の貼り箱です。
パソコン、ゲームソフトやアルバム、書籍のケースとしてのご利用が多い形式です。
初期費用(抜型、木型)が高めなので小ロット製造にはあまり適さず、最低ロットは300個~500個です。
ワンピース貼箱にはあまり厚い芯材を使用できないので大きな箱や重い商品のパッケージには向きません。
貼り紙は通常の紙(特殊紙、印刷紙その他)でも製造は可能ですが背の角が割れたり破れやすいのでPP貼りの印刷紙や紙クロスなどの材質がおすすめです。
通常の貼り箱に書籍、アルバムをピッタリサイズで収納すると取り出し難くなりますがワンピース貼り箱はフタを開けると身箱の背側がフルオープンになるので取り出し易く余計な中枠などを必要としません。
CD、DVDなどのディスクを固定する部品を使ってCD、DVDケース貼箱(紙製ワンピースタイプ)としてもご利用頂けます。
貼り箱・貼箱(はりばこ)の構造・材質・フタの形式
貼り箱の構造
貼り箱は厚紙(裏白チップボール)を90度折り曲げて角をテープ止めした箱の外周に化粧紙(貼り紙)を貼って仕上げます。
上の画像が厚紙を箱型に組み立てたものと貼り紙です。
芯ボールの厚さは内容物の重さや箱サイズ、予算を考慮して決定し、貼り紙は無地と箔押しの箱にする場合は既製の色紙を、貼箱印刷の場合はコート紙などの印刷紙を使います。
色や印刷・表面加工を検討してフルオーダーの貼り箱を製造します。
少ロット(経済的な最小は100個です)でも指定寸法で材質を選んで、オリジナル印刷の箱を低コストで製作できるのは貼り箱ならではです。
材質 芯ボール(裏白チップボール)の厚さについて
貼り箱の芯に使用する裏白チップボールは箱の大きさや入れる商品の重さ、箱の強度や質感などを考慮して決定します。
最も使用頻度が高いのは1mm厚の芯ボールです。小さ目の箱や軽い商品を入れる箱には1mm厚でも十分な強度があります。
少し大きめの箱やインロー箱、厚め、固い感じをご希望の場合は1.3mm、1.6mm厚を使用します。
1mm厚と1.6mm厚ではたったの0.6mm差、ほとんど変わらないのでは?と感じるかもしれませんが実際に箱を手にしたときの重量感、厚みなどの印象はかなり違います。
材料代は厚い方が価格が高くなりますので厚さとご予算の兼ね合いも含めご検討下さい。
フタの形式
身の上部にだけフタが被さるタイプ。
フタの展開寸法が小さいので、材料費の軽減、印刷コスト減につながります。 | |
身の下まで被さるフタです。フタをするとしっかりとした頑丈な印象になります。
厚い芯ボールで嵌合(フタのきつい・ゆるい)をきつめにすると、たわみ、ねじれに強い剛性の高い箱になります。 | |
身の中に内箱を入れた3ピース構造のタイプ。
インロー箱と言い、身・フタの深さ以外の寸法が同じで突き合わせるようにフタをします。 | |
インロー箱の身とフタの一部がつながったタイプです。
蝶番箱と呼んでいます。 |
貼箱の作り方・製造工程
貼り箱はキャラメル箱などの印刷紙器と比べ、部材が多く工程が複雑です。そのため、印刷紙器より割高ですが、高級感があり、強度も優れています。
芯ボールと貼り紙を切り分けたり型抜きして展開の部材を作ります。
芯ボールは素材のまま(箱の内側が白)で使う場合と箱の内側に色を付けるために印刷紙や色紙を芯ボールに貼り合わせてから切り分ける場合があります。
小さく切り分けた芯ボールは型抜き、もしくは専用の機械による加工で角をカットして折り曲げる部分に半切れ(ハーフカット、紙厚の半分くらいの深さまでカットする加工)を入れます。
ハーフカットすることで厚いボール紙にしわ、割れなどを生じさせることなく綺麗に折ることができます。
貼り紙も角をカットします。
次に芯ボールの組立です。箱の4辺を立ち上げて箱型にして角をテープで固定します。
次は貼り紙と芯ボールの接着です。貼り紙の接着面全体に接着剤を塗布した後、貼り紙の真ん中に芯ボールで作った箱を載せます。
手貼りの場合は目視で見当を合わせます、自動機械貼りの場合はセンサーで位置を合わせます。
続いて下の画像のように箱の長手側面を貼ります。
長手の側面を貼ったら両端にある4箇所のベロ(のりしろ)を短手側の側面に貼ります。
次にベロの上に重なるように短手側面を貼ります。
最後に芯ボールより上にはみ出している貼り紙を箱の内側に折り込んで完成です。